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圧縮記帳の簡単3ステップ|補助金を使って経費計上する方法について解説!

目次

はじめに

小規模事業者が販路開拓や生産性向上のために利用できる「小規模事業者持続化補助金」は、うまく活用すれば事業のスケールアップを後押ししてくれる頼もしい存在です。ただし、補助金はあくまで課税対象となり得る収入であるため、受給した年度に何の対策もとらないと、法人税や所得税が思いのほか膨らむことがあります。そこで役立つのが「圧縮記帳」という会計処理です。本記事では、2025年度の制度改正点にも触れつつ、圧縮記帳の基礎から具体的な仕訳例、そして実務で気をつけたいポイントまでをまとめて解説します。専門用語はかみ砕きつつ、日常の例えも交えながらお届けしますので、肩の力を抜いてお読みください。

小規模事業者持続化補助金と圧縮記帳の基本理解

圧縮記帳とは何か

圧縮記帳とは、補助金や保険金といった収入に課税されるタイミングを先送りするための特例処理です。ものすごくざっくり言うと、「いったん利益に計上しつつ、同額を損金(費用)として落とすことで、当期の税負担を減らし、将来にわたって少しずつ費用計上していく仕組み」です。たとえるなら、夏休みの宿題を毎日に分けてコツコツ片づけるイメージで、税金も分散して払うので急な出費を防げます。

補助金と圧縮記帳の関係

小規模事業者持続化補助金は国庫補助金に分類されます。法人税法42条および所得税法42条では「国庫補助金で取得した固定資産の取得価額は圧縮記帳できる」と定められているため、固定資産に当てはめれば圧縮記帳を適用できます。一方、外注費や旅費など「使ったら終わり」の経費は、固定資産ではないため圧縮記帳の対象外です。

圧縮記帳が認められる経費の範囲

固定資産に該当する場合

  • 厨房機器や工作機械など長期にわたり使用する設備は、取得価額が10万円を超え耐用年数が1年以上であれば減価償却資産に該当し、圧縮記帳を適用できます。
  • 補助金の使い道がウェブサイト構築費や広告費であっても、その一部にサーバー機器や撮影用カメラなど物理的な資産が含まれていれば、その資産部分だけを区分して圧縮記帳できます。

圧縮記帳が認められない経費の例

  • デザイン料やコンサル料は目に見える形で残らないため固定資産ではなく、受給額をそのまま収入に計上し、対応する費用と相殺して終わりになります。
  • 旅費や展示会出展費のように使用後に資産価値がゼロになるものも対象外です。

圧縮記帳の二つの計上方法

直接減額方式

直接減額方式は、補助金で取得した固定資産の帳簿価額から補助金相当額を直接マイナスして圧縮損とし、以後の減価償却費も同様に圧縮後の簿価をもとに計算します。会計処理がシンプルで、毎年の減価償却費も少なく済むため、仕訳に慣れていない担当者には取り組みやすいです。ただし、取得直後に帳簿価額を大幅に減らすため、貸借対照表上の総資産が一気に目減りし、金融機関へ提出する際は自己資本比率が下がるリスクがある点に注意が必要です。

積立金方式

積立金方式では、受け取った補助金額を「固定資産圧縮積立金」として負債側に計上し、通常の減価償却費を積立金から毎期取り崩す方法を取ります。帳簿上の資産価値を維持しつつ、負債を徐々に取り崩していくため、貸借対照表の見栄えを保ちたい場合に有効です。ただし、毎期の仕訳が増えて処理がやや煩雑というデメリットがあります。

どちらを選ぶべきか

  • 手間を最小化したい小規模事業者は、直接減額方式がベターです。
  • 金融機関との付き合いが深く自己資本比率を重視される事業者は、積立金方式で資産価値を残すほうが安心です。
  • いずれの方式でもトータル納税額は同じになりますが、貸借対照表の見え方が違うため、経営戦略に合わせて選択します。

具体的な仕訳例と貸借対照表への影響

直接減額方式の例

下表は、取得価額100万円、補助金50万円、耐用年数5年、定額法の場合を想定したものです。

補助金受給年度減価償却1年目減価償却2年目減価償却3年目減価償却4年目減価償却5年目
貸方(圧縮損・減価償却累計額)5000000
借方(圧縮損取崩・償却費)50▲10▲10▲10▲10▲10
合計0▲10▲10▲10▲10▲10

この方式では、圧縮損を計上した時点で帳簿価額が50万円に圧縮されるため、翌期以降の償却費は年間10万円に減少します。

積立金方式の例

同じ条件で積立金方式を用いた場合は以下のとおりです。

補助金受給年度減価償却1年目減価償却2年目減価償却3年目減価償却4年目減価償却5年目
貸方(圧縮積立金・取崩)501010101010
借方(積立金取崩・償却費)50▲20▲20▲20▲20▲20
合計0▲10▲10▲10▲10▲10

圧縮積立金を毎期10万円ずつ取り崩すため、固定資産の簿価は100万円のまま50万円が負債として載り、貸借対照表の資産総額は維持されます。

2025年度の制度変更点と実務上の注意点

インボイス特例と圧縮記帳

2025年度公募要領では、通常枠50万円に加え「インボイス特例対象事業者」には50万円、「賃金引上げ特例対象事業者」には150万円、両方適用なら最大200万円の上乗せが認められています。設備投資額が大きくなりやすいため、圧縮記帳のメリットも比例して高まります。特例で上乗せされた部分も固定資産取得費に充当したのであれば、原則として圧縮記帳の対象に含められます。

補助金返還リスクと追加納税

補助金は交付決定通知を受け取った段階では「返還不要」が前提ですが、事業が予定どおり進まなかった場合や報告書不備、最悪の場合は不正受給などで返還を求められるケースがあります。

  • 補助金返還が確定したら、すでに圧縮記帳していた額を取り崩し、追加納税を行う必要があります。
  • 決算が補助事業期間の途中に来る場合には、補助事業が完了し実績報告が受理されるまで、余裕を持った運転資金を確保しておくと安心です。

まとめ

圧縮記帳は、補助金による「臨時収入」にかかる税負担を平準化し、キャッシュフローを守るための優れた会計手法です。特に2025年度はインボイス特例などで補助上限が引き上げられ、設備投資を伴う案件が増えると予想されるため、固定資産に充当した分の圧縮記帳は積極的に検討したいところです。

  • 固定資産に該当する支出であれば、圧縮記帳が可能です。
  • 計上方法は「直接減額方式」と「積立金方式」の2種類で、貸借対照表への影響が異なります。
  • 返還リスクがある場合は、追加納税資金をあらかじめ見積もっておくと安心です。

最後に、圧縮記帳の実務処理は税務の専門知識が要求されます。会計ソフトで対応できる範囲も広がっていますが、不安な方は税理士に相談しながら進めると、後々の手戻りが少なくて済みます。補助金を「もらって終わり」にせず、正しい会計処理で将来の成長に活かしていきましょう。

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この記事を書いた人

神戸大学卒、中小企業診断士。システム開発会社にてITシステム導入支援、プロジェクトマネジメント業務に従事したのち、Webエンジニア兼・講師として独立。SaaS立ち上げ支援やエンジニアリング支援等を担当しています。Udemyでは、自身が強みを持つ「生成AI」「IT」や「財務会計」「管理会計」「業務効率化」を軸に、スキルアップ術・ノウハウを紹介しています。

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