減価償却に注意すべき点は、資産の種類や性質によって償却期間が異なるため、適切な償却期間を把握すること、また、購入時期によっても計上金額が変わるため、購入のタイミングにも注意が必要であることです。さらに、特別償却や少額減価償却資産など、法令で認められた特例が存在するため、これらの特例についても把握しておく必要があります。ここでは、減価償却費と資金繰りの関係について学んでいきましょう!
減価償却とは?
減価償却とは、事業用資産として設備投資した際にその額を複数年に渡り税の申告時に費用として計上できるものの事です。例えば、会社で商用車や製造マシンを購入した場合には、その購入年に全てが経費となるわけではなく、複数年に渡って費用計上して行くのが通例です。そしてこの減価償却は、会社経営でよく言われる合法的な節税や資金繰りを考えていく過程で非常に重要になってきます。何故かというと、減価償却の方法には、資産の種類やその性質によって、費用計上のタイミングや、金額の算定方法などに多くのバリエーションがあるからです。さらに知らなければ損する、法令で認められた特例まで存在します。そのため、どんな対象資産が、どんなタイミングでいくらぐらいの金額で償却できるかを、知っていないと計画納税や資金繰りを失敗してしまうこともあります。
知らないと損する!?減価償却の知識
減価償却は、会社で設備の購入等で設備投資したもの、例えば、商用車やトラック、製品を作るための機械などを購入した場合、その設備投資によって利益が生まれます。しかし商用車や機械などは1年ではなく翌年も、またその翌年も利益を生み続けます。それに対して当然ですが商用車や機械は使用年数に応じ、徐々に古くなるため資産価値や利用価値も下がります。この価値が下がった分を毎年度の税務申告で年度ごとに減価償却費として費用として計上して行くのが減価償却の考え方です。
そして減価償却できる資産の事を対象資産や減価償却資産と言い、オフィスビルや工場などの建物などの不動産だけでなく、機械や船や自動車や工具や検査機器などの動産や物はもちろん、PCなどで使うダウンロードしたソフトウェアのようなデータサービスや知的財産権などの無形のものも対象となります。しかし不動産のなかで、建物が建っている土地などは利用価値が下がらないため、減価償却の対象外となります。
減価償却には複数の方法があり、どの方法を使っても最終的には購入金額を全額費用計上できます。とはいえ、税負担抑制、早いうちに大きな金額を計上できる方法を選ぶ方が得策です。
早いうちに計上するメリットは?
減価償却による税負担抑制、早いうちに計上するメリットは、当面の税負担を抑える事が出来るからです。税負担が減れば、手持ちのキャッシュを温存でき、資金繰りに余裕が出ます。起業したてでまだ会社経営が軌道に乗る前は、何が起こるのか解らず急に資金繰りが踵くなる事も起こりえます。そんな時でも、手持ちのキャッシュがあれば、対処できる選択肢を増やす事が出来ます。またIT企業を起業した場合には、最新のPCやソフトウェアを年に何回も買い替えることもよくあり、そのような場合に早めにできるだけたくさんの減価償却をしておく方が望ましいと考えられます。
減価償却の期間については、資産で異なる償却期間があるので注意が必要です。減価償却の期間の事を、法定耐用年数と言い、資産の種類と新品か中古品かの違いによって決まります。例えば商用車を乗り潰して半年で壊したとしても、法定耐用年数は決っているので半年にする事はできません。ただしどんな法律にも例外があり、即時償却や特別償却という規定により一気に全額償却できるケースもあります。新品よりも中古品の方が、減価償却の額が少ないのは、購入時に既に資産価値が使われた年数分減っているからです。
注意するべき点は?
設備投資を行う時に、どの時期に購入するかによって計上できる減価償却の金額も変わってくるので、購入のタイミングも注意が必要です。減価償却はその資産を月割りで計算しますが、事業年度の初めの1月めで購入した場合は、その年に請求可能な全額を計上できます。しかし年度末の最終の12月で購入すると、12分の1の1カ月分しかその年の税務申告で計上する事が出来ないため購入するタイミングにも注意が必要です。
一気に全額の減価償却ができる、特別償却もあります。特別償却の代表的なものとしては中小企業投資促進税制などがあり、購入した年に一気に減価償却が可能で資金繰りが楽になります。それ以外にも特例として少額減価償却資産があります。これは1個に対して30万円未満の資産について年間300万円までの全額を減価償却できる制度です。例えば、中小企業がパソコンのOSが使えなくなる時期に、一気に30万円未満のパソコンを10台買い替えた場合には、300万円未満なのでこれが適応できて一度に減価償却可能です。