事業部制組織の特徴
事業部制組織は日本企業では従来は数多く採用されていた方式であり、製品やサービス毎にその経営責任を含めたチームで分割することで、効率よく経営を行おうとするシステムとなっています。利益管理などもこの単位で行われることが多く、社内にそれぞれの事業ごとに別組織が存在するようなイメージとなるため、これらの管理をそれぞれ細かく行うことができるのが特徴です。
様々な判断も事業部制組織ごとに行われることが多く、最終的にはこれを取りまとめる経営管理部門が事業の統括を行う形となりますが、実際の業務上の経営判断はそれぞれの事業組織が実現する形となっているスタイルです。
メリット:経営のスピードアップ
事業部制組織を多くの日本企業がこれまで採用してきた背景には、経営判断のスピードアップを図ることができると言うメリットがあります。企業がその事業規模を拡大し、様々な業務を取り扱うようになった場合、そのすべてを経営層が細かな部分まで判断することは難しくなります。そのため、事業部制組織ではそれぞれの経営判断を行う責任をその事業部制組織に権限移譲することにより、責任の所在を明確にしながら迅速な経営判断を行うができるのがメリットです。この方法によって大規模な企業の内部の様々な判断をスムーズに行うことができ、効率よく取りまとめることができます。
デメリットその1 経営効率が劣る
事業部制組織では社内にいくつもの経営能力を持った組織が存在することになるため、企業全体で見た場合にはこれらの統一をすることができず混乱してしまうことも少なくありません。そのため経営効率が低下し、最終的な企業判断に多くの時間を費やしてしまうことも多いものです。
また複数の経営資源の重複が発生することから、機能別組織と比較した場合にそのスピードが低下していると問題を生じることもあり、企業全体での効率的な判断をすることができない場面も少なくありません。事業部制組織ではこれらの問題を解決するために、経営者の権限の明確な設定が重要なポイントとなっています。
デメリットその2:企業ブランド等が浸透しづらい
事業部制組織ではそれぞれの事業部が独自の判断によって業務を進めている印象があり、企業全体の統一した考え方が定まらないイメージを対外的に与えてしまうリスクがあります。これは企業ブランドを定義する上で非常にわかりにくいものとなる危険性があり、また事業部によって方針が異なるため共通の認識を持つことが難しいものとなりがちです。
事業部制組織では企業全体で様々なイノベーションを起こそうとする場合、お互いに反発しあってしまうこともありこれらがスムーズに進まないといった問題を生じることも多いので、この統括が非常に難しいといったデメリットもあります。