カンパニー制組織は、企業内にそれぞれ独立した事業部が存在することで、独立性を保ちながら効率的な経営を行うことができる特徴があります。その中でも、経営のスピードアップが大きなメリットとして挙げられますが、一方で経営資源が重複したり、運営コストが増加するといったデメリットも存在します。ここでは、組織管理手法の一つであるカンパニー制組織について、学んでいきましょう!
カンパニー制組織の特徴
“カンパニー制組織は、企業の中にそれぞれ独立した事業部が存在することで、それぞれのカンパニーが独立した会社のように機能しているものとなっています。グループ企業の構成と非常に似ていますが、それぞれのカンパニーが企業に所属していることから対外的には経営収支が明確にならないと言うだけであり、実際の体制はそれぞれのグループ企業のものと大きな違いはありません。
カンパニー制組織のポイントは、それぞれのトップが経営者と同じ責任を持つため、責任の所在を明確化することができ経営資源を効率的に活用することができる点にあります。”
メリット 経営のスピードアップ
カンパニー制組織のメリットは、それぞれのカンパニーに独立した経営者が存在する形となるため、意思決定が迅速であることや独立性を保つことができると言う点にあります。同じ企業の中でありながらそれぞれが独立した経営判断を行う仕組みとなっていることから、様々な状況に対してそれぞれのカンパニーの経営トップが自ら判断をしなければならず、このことが将来の企業経営者にとって必要な素養となることから、次世代のリーダー育成にも非常に適したものとなっているのが特徴です。多くの企業では、この方式を用いることで経営層の充実を図ると言うケースも少なくありません。
デメリット:経営資源が重複する
様々なメリットの多いカンパニー制組織ですが、企業全体で見たときにはカンパニー間のシナジーが非常に薄くなると言うデメリットも存在します。それぞれが独立した経営組織となっているため、お互いに情報交換の密度が薄くなり、独立した経営方針を行うことも少なくありません。これは企業にとっては経営ベクトルが分散してしまうといったリスクを生じることとなるため、その管理方法を意識することが必要となります。
さらに企業内に経営者レベルが数多く存在することになり、経営資源が重複してしまうといった問題もあります。これによって、最終的な判断が遅れるリスクを生じることも少なくありません。
デメリット:運営コストが重くなる
カンパニー制組織ではそれぞれのカンパニーが独立した経営判断を行うため、間接部門がそれぞれ存在することになり運営コストが重くなるといった問題があります。間接部門のコストは企業全体の利益に大きくのしかかるものであることから、これをできるだけ減らしその費用を少なくすることも重要なポイントとなっていますが、カンパニー制組織ではこのポイントに反する動きとなることから十分に注意が必要です。
様々な業務管理を本社部門に移管し、統合的な管理を行う場合もありますが、実際の業務との乖離が生じるケースも多いので、そのバランスを保つことが難しいものとなっています。
以上、カンパニー制組織について、その特徴やメリット・デメリットについて解説してきました。このような組織管理手法は、企業の形態や規模、経営戦略に合わせて選択されることが多く、一概に良し悪しということは言えません。しかし、それぞれのメリット・デメリットを理解し、適切に運用することで、効果的な経営が可能となるでしょう。今後も、企業の視点から組織管理手法を考察していくことが重要です。