はじめに
皆さまこんにちは。この記事では、UXチームが研究や調査を通じてどのようにビジネス目標と顧客の共感を結びつけ、その成果を測定するかについて解説します。ユーザー体験(UX)の改善がどのようにROI(投資利益率)やビジネスインパクトをもたらすのか、具体例を交えながらわかりやすくお伝えします。
UX調査の価値を最大化する方法
UXチームが直面する課題のひとつに、調査結果を関係者に適切に伝え、ビジネス価値を理解してもらうことがあります。調査のスコープを決め、結果をレポート形式で整理するだけでなく、結果が具体的なビジネス目標にどのように貢献するかを明確にすることが重要です。
ビジネスゴールと調査結果を結びつける
多くのUXチームは、ビジネス側から与えられた要件や課題を基に調査を行い、結果を提出して終わるという「一方通行型」のプロセスになりがちです。しかし、調査結果を実際のビジネスゴールと結びつけるには、調査チームとビジネス側が協力してプロジェクトに取り組む必要があります。
たとえば、「顧客体験を改善することで問い合わせ件数を減らす」といった目標を設定した場合、その成果を測定するためには、調査結果をもとに施策を実施し、具体的なKPI(主要業績評価指標)を追跡する必要があります。
共感のROIを測定するフレームワーク
UXチームが価値を示すためには、組織的かつ計画的に目標を定め、それをビジネス活動や測定可能な指標と結びつけることが求められます。このプロセスをフレームワークとして整理することで、顧客共感という抽象的な目標を、具体的な成果につなげることが可能です。
具体例:FAQの自己解決機能を改善するプロジェクト
以下は、共感を高めるプロジェクトの一例です。
- 目標設定
高レベルの目標として、「顧客が簡単に問題を解決できる環境を提供する」を掲げます。 - 施策の選定
たとえば、「FAQの利用体験を向上させる」といった具体的な施策を定めます。 - 調査内容
- コンテンツ品質:FAQの質問が適切か、回答が具体的かを確認
- アクセシビリティ:FAQが簡単に見つけられるかを調査
- コンセプトテスト:新しいFAQデザインの理解度や最適化ポイントを確認
- 成果の測定
FAQ利用率の増加やカスタマーサポートへの問い合わせ件数の減少といった指標を用いて、施策の効果を測定します。
調査内容 | 主な目標 | 成果指標 |
---|---|---|
コンテンツ品質 | 適切な情報提供を実現する | FAQページの訪問者数 |
アクセシビリティ | 顧客が情報を見つけやすくする | ページ内滞在時間 |
コンセプトテスト | デザインの最適化を図る | FAQ利用率の向上、離脱率の低下 |
UX調査を成功させるためのポイント
調査結果を活用してROIを最大化するためには、以下の3つのポイントを押さえることが重要です。それぞれのポイントについて具体的な方法を補足します。

目標の共有
ビジネス側と調査チームの間で共通の目標を設定することが、プロジェクトの成功には不可欠です。例えば、「顧客満足度の向上」や「問い合わせ件数の削減」など、具体的で共有可能な目標を設定することで、双方の期待値を揃えやすくなります。プロジェクトの初期段階で目標について話し合い、ゴールを明確にするワークショップの開催や、双方が目標を確認できるドキュメントを作成することが効果的です。
指標の明確化
目標達成度を測定するためには、具体的で追跡可能な指標(KPI)を設定する必要があります。たとえば、以下のような指標が考えられます:
- サイト内FAQページの訪問者数
- FAQ利用者の離脱率
- カスタマーサポートへの問い合わせ削減率
これらの指標は、定量的であることが望ましく、かつ調査結果が直接的に影響を与える要素である必要があります。また、指標を定める際には、各指標がどのようにビジネス成果と結びつくのかを関係者全員で確認しておきましょう。
定期的なモニタリングの実施
調査結果を単に提出するだけでなく、その後の影響をモニタリングし続けることが重要です。たとえば、以下のような施策を行うとよいでしょう:
- 定期的に関係者とレビュー会議を開催し、指標の進捗を共有する
- 改善が見られた施策とそうでない施策を比較し、次のアクションに反映する
- ツールを活用して、自動的にデータを収集・可視化し、進捗をリアルタイムで把握できるようにする
こうした継続的な追跡が、調査がもたらす影響を証明しやすくし、ビジネス側からの信頼を得る基盤にもなります。
まとめ
UX調査は、単に顧客体験を向上させるだけでなく、ビジネスに直接的な価値をもたらす手段です。調査チームがビジネスゴールを理解し、それに貢献する調査計画を立てることで、共感を軸にしたROIの向上が可能となります。この記事で紹介したフレームワークを参考に、効果的なUX調査を実践してみてください。