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補助金と課税の関係について解説!

執筆者 | 5月 3, 2025 | 未分類, 補助金・助成金

はじめに

補助金は「資金繰りの救世主」ともいえる存在ですが、受け取った瞬間から“税金というもう一つのドラマ”が始まります。補助金は基本的に「もらって終わり」ではなく、法人税・所得税・住民税・事業税など、いくつかの税目で課税対象に含まれる可能性があります。本記事では 「補助金 税金」 をメインキーワードに、課税関係を整理しつつ、納税負担を和らげるテクニックや専門家の活用法まで広く解説します。数字が苦手な方でも読み進められるよう、具体例を挟みながらフレンドリーにお届けしますので、肩の力を抜いてどうぞ。


補助金と税金の基本を押さえる

補助金が課税対象になる税金とは

「補助金はタダでもらえるお金」と思われがちですが、事業所得に含まれるため、下表に示す国税・地方税の対象となる場合があります。

税目概要補助金との関係
法人税会社の所得に課される国税補助金は原則“益金”に算入
所得税個人事業主の所得に課される国税補助金は“総収入金額”に加算
住民税個人・法人の所得に対する地方税所得増加分に連動して増える
事業税事業所得に対する地方税補助金益金分が課税ベースに影響

ワンポイント
事業が赤字の場合、法人税・所得税はそもそも課税対象がゼロなので納付不要です。ただし赤字計上でも住民税の「均等割」は生きています。

消費税は“不課税”だから安心?

補助金は商品の対価ではないため 消費税の課税対象外(不課税取引) です。ただし、補助金で買った設備の仕入税額控除や、補助対象経費に含めた消費税分の処理には落とし穴があります。

  • 消費税分を補助対象経費に含めて申請すると返還対象になる場合があります。
  • 簡易課税や免税事業者のステータスが変わると、仕入税額控除の扱いが変動 します。

帳簿や申請書に「税込」「税抜」といった区分を明示しておくと、のちのトラブルを防げます。


法人が補助金を受給したときの税務

法人税の増減シミュレーション

法人税額は 「課税所得×法人税率」 で決まります。課税所得には受け取った補助金が加算されるため、補助金額が大きいほど納税額も増える構造です。

  • 資本金1億円超の大企業 … 一律23.2%
  • 資本金1億円以下の中小企業 … 年800万円以下は15%、超過部分は23.2%

具体例:補助金500万円をもらった場合

区分補助金なし補助金あり増額分
売上利益1,000万円1,000万円
補助金益金500万円+500万円
経費等▲400万円▲400万円
課税所得600万円1,100万円+500万円
法人税600万円×15%=90万円800万円×15%+300万円×23.2%=156.6万円+66.6万円

所感
“助成500万ゲット→税金約67万増” のインパクトを見て「うわっ」と思うかもしれませんが、助成後でも手残りは約433万円。税効果を加味してもプラスは大きいといえます。

圧縮記帳で納税を繰り延べる

補助金で固定資産を取得した場合は 圧縮記帳 が使える可能性があります。ざっくりいうと「補助金部分を取得価額から直接マイナスして帳簿に載せる」方法です。

  • 初年度の益金を減らし法人税を軽減
  • その代わり減価償却費も小さくなるため、節税効果は翌期以降の費用と相殺されます。

「税負担を翌年以降へスライドするテクニック」と覚えておきましょう。税務署への届出書類が必要なので、税理士と二人三脚で進めるのが安全です。


個人事業主が補助金を受給したときの税務

所得税のカラクリを理解する

所得税は 7段階の累進課税 です。補助金で課税所得が増え、税率が一段上がると納税額の跳ね上がり方が大きくなります。

課税所得税率控除額
〜195万円5%0円
195〜330万円10%97,500円
330〜695万円20%427,500円

具体例:課税所得320万→380万にアップ

  • 補助金60万受給で課税所得380万円
  • 330万円を超えた50万円部分は20%課税
  • 納税額増加は「(380-330)×20%=10万円」

ポイント
「少額の補助金でも税率帯をまたぐかどうか」で手取りに差が出ます。事前シミュレーションは必須です。

総収入金額不算入の特例

個人でも固定資産取得に伴う補助金なら 総収入金額不算入 という繰り延べ制度が使えます。圧縮記帳と似ていますが“個人版”と捉えればOKです。

  • 取得価額から補助金相当額を控除
  • 経費計上タイミングをコントロールできるため、初年度の税負担を抑制

ただし届け出を出し忘れると適用不可。こちらも税理士に相談するのが堅実です。


補助金 × 消費税の落とし穴

補助金は消費税“不課税”ですが、下記ケースに注意が必要です。

  1. 補助対象経費の見積に“税込額”を入れたまま申請
    • 後で精算時に消費税相当額を減額返還させられる例が多数
  2. 簡易課税から本則課税へ切り替えた年に大型設備導入
    • 仕入税額控除の取り扱いが変わり、決算で慌てる

あらかじめ「税抜」「税込」の表示方法と会計処理方針をブレさせないことがトラブル防止につながります。


税務処理フローチャート

補助金の会計処理は「課税/不課税」「固定資産取得の有無」の2軸で整理すると迷いません。

分類消費税区分会計上の処理使える特例
①運転資金系補助不課税受取補助金として益金算入なし
②設備取得補助(法人)不課税受取補助金益金+固定資産計上圧縮記帳
③設備取得補助(個人)不課税受取補助金収入+固定資産計上総収入金額不算入
④雇用助成金等不課税受取助成金益金算入なし

自社ケースが①〜④のどこに当たるかをチェックし、必要に応じて届出書類を準備しましょう。


税金の悩みは専門家とチーム戦で

「経理担当は自分一人」「税金の用語を見るだけで頭が痛い」という場合は、下記の専門家・機関を上手に活用してください。

相談先強み活用ポイント
税理士・公認会計士税務申告・節税スキーム決算前の試算段階で相談し、繰延べ策を練る
行政書士補助金申請書類の整備事業計画書の体裁や提出代行を依頼できる
金融機関融資+つなぎ資金補助金入金前のキャッシュギャップを補填
商工会・商工会議所無料経営相談初歩的な税務・補助金情報を収集
民間コンサル採択率アップ・実績報告支援報酬体系(成功報酬/定額)を比較検討

コツは“誰に何を聞くか”を明確にすること。 例えば「圧縮記帳の仕訳をどう切るか」は税理士向け、「採択後の交付申請書が分からない」は行政書士向け——といった具合に役割分担を意識すると費用対効果が上がります。


まとめ

  • 補助金は 法人税・所得税・住民税・事業税の課税対象 になるが、消費税は不課税。
  • 圧縮記帳(法人)総収入金額不算入(個人) を活用すれば、負担を翌期以降へ繰り延べできる可能性がある。
  • 大型設備導入や累進税率の“段またぎ”で納税額は大きく動くため、必ず試算してから採択後の資金計画を立てる
  • 税務・申請・資金繰りは単独プレーより 専門家や金融機関を巻き込んだチーム戦 にすると安心。

補助金は正しく管理すれば、事業成長を強力にバックアップしてくれる頼もしい味方です。税金という“もう一つのストーリー”をしっかり理解し、怖がらずに賢く使い倒していきましょう。

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筆者:Machiko

筆者:Machiko

位置

神戸大学卒、中小企業診断士。システム開発会社にてITコンサルタント業務に従事したのち、Webエンジニア兼・講師として独立。SaaS立ち上げ支援やエンジニアリング支援等を担当しています。Udemyでは、自身が強みを持つ「IT」や「財務会計」「管理会計」「業務効率化」を軸に、スキルアップ術・ノウハウを紹介しています。

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