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顧客ヒアリングで新規事業が変わる!簡単3ステップについてご紹介

執筆者 | 2月 25, 2025 | 事業計画書作成, 新規事業立ち上げ

はじめに

冬の寒気を肌で感じる今日この頃、皆さまはいかがお過ごしでしょうか。本記事では、新規事業の立ち上げや事業構築の際に欠かせない「顧客ヒアリング」について、その重要性や具体的なポイントを解説してまいります。多くの企業や事業責任者が新しいアイデアを実現するうえで、顧客の声をどのように聞き取り、そこから得られた知見をどう事業に生かすかが大きな課題になることは言うまでもありません。そこで、筆者の過去の経験や知見を踏まえつつ、できるだけ実践的でわかりやすい内容をお伝えできればと思っております。この記事が少しでも皆さまの新規事業開発やサービス改善のヒントになれば幸いです。

本記事では、顧客ヒアリングの方法論や注意点、さらに定量データとの上手な組み合わせ方まで幅広く取り上げます。特に、新規事業を検討する初期段階ではサービス内容が定まっていないことも多く、漠然とした状態で顧客にアプローチしてしまいがちです。その結果、せっかくヒアリングを行っても「あまり有益な情報が得られなかった」という事態になることもしばしばあります。そうならないためにも、事前の準備からヒアリング手法、アフターケアに至るまで段階的にチェックすべきポイントを整理してみました。どうぞ最後までご覧ください。


事業構築における顧客ヒアリングの重要性

新規事業開発では、市場の動向や技術的な可能性を調査することはもちろん重要ですが、それだけでは成功をつかむには不十分な場合が多いです。最終的には、実際に利用する顧客がそのサービスを「使いたい」「価値がある」と感じてくれるかどうかが鍵を握ります。そこで欠かせないのが、事前段階で顧客の声を聞く「顧客ヒアリング」です。

顧客ヒアリングを通して、企業側が想定していたペルソナや課題感がどの程度正しいのかを検証できるのは大きなメリットです。また、ヒアリング内容を反映してサービスのコンセプトをブラッシュアップすることで、リリース後の顧客満足度やユーザーの定着率を高める効果も期待できます。そのため、プロジェクト全体の成功確率を高めるためには、計画段階でしっかりと顧客ヒアリングを実施しておくことが望ましいです。

顧客との対話で明らかになるニーズ

書籍やネット上の調査では把握しにくい細かな要求や本音は、実際に顧客と対面、あるいはオンラインで直接ヒアリングを行うことでこそ得られます。例えば、企業向け研修サービスを考えている場合、「社員のレベルアップを望んでいるだろう」と企業側は考えていても、実は別の部分にもっと大きな課題を抱えているかもしれません。あるいは、研修の仕組み自体には興味があるものの、それを実施できるだけの組織体制や予算が整っていないなど、背景情報を聞かなければわからないことも多々あります。

このように、サービスを受ける立場に立った生の声を聞くことで、ビジネスモデルの方向性が正しいのか、あるいはターゲットを再設定すべきなのかといった戦略的な見直しも可能になります。新規事業はリリースする前にいかに問題点やリスクを洗い出せるかが重要であり、そのための有効なアプローチが顧客ヒアリングなのです。


顧客に具体的イメージを与える工夫

新規事業の初期段階では、サービス内容が定まっていないために曖昧なまま顧客に意見を求めてしまうケースが少なくありません。こうした場合、顧客は「なんとなく良さそう」という抽象的な回答しか出せず、企業側は価値あるインサイトを得られないまま終わってしまうことがしばしばあります。そのような事態を避けるためには、ヒアリング前に「仮のサービス資料」や「仮設定の価格モデル」などを作成し、できるだけ具体性を持たせたうえで顧客に提示することが大切です。

仮のサービス説明資料の作成

まだ事業を正式にローンチしていない段階でも、あたかも実際にサービスが存在するかのように説明資料を用意し、顧客が自分ごととしてイメージしやすいようにしましょう。例えば、導入事例がまだ存在しない場合でも「ここには将来的にこんな事例が入りそうです」という形で、見本のレイアウトや写真を入れてイメージを膨らませます。ただし、顧客に対しては「この導入事例は仮定で作ったものです」と一言添えておくと、誤解を招くリスクを避けられます。

価格や期間についても同様です。実際にはまだ決定していない部分が多くても、いったん具体的な数字を設定した方が、顧客は「この価格なら払えるか」「この期間でできるなら検討したい」というように、現実的な意見を述べやすくなります。数値がなければ顧客も漠然とした感想しか言えないため、予想外のアイデアを引き出すためにもあえて仮設の数値を提示する手法は有効です。

顧客が得られるベネフィットを明確化

具体的な資料を用意するだけでなく、顧客がどんなメリットを得られるかをはっきりと示すことも重要です。たとえば、以下のような視点で「お客様が得られる効果」を強調すると、顧客の興味関心を引き出し、さらに詳しい情報を引き出しやすくなります。

  • コスト削減:従来型のサービスと比較し、どの程度のコストが抑えられるのかを数値化しながら示す
  • 業務効率化:具体的にどの業務プロセスをどれだけ短縮できるのかを例示する
  • 売上拡大:このサービスを導入することで獲得できるビジネスチャンスや市場の広がりを試算する

このようなポイントを事前に用意しておけば、顧客から「もっとこうした方がいい」「私たちの業界では別の課題がある」といった、より建設的な声を引き出しやすくなるでしょう。


ターゲット企業や顧客の実態を把握する重要性

顧客ヒアリングの最終的な目的は、「この新規事業(またはサービス)を受容できるかどうか」を確認することです。しかし、その前段階として「ヒアリング相手の実態把握」も欠かせません。事業側の仮説とターゲット企業や顧客層の現実がかけ離れていると、新規事業の方向性そのものが間違ったまま進んでしまう恐れがあります。

仮説の妥当性を検証するための着眼点

ヒアリング前には、誰に何を聞きたいのかという「仮説」を明確にしておく必要があります。たとえば「スキルアップ系の研修サービスを導入すれば、企業の売上が伸びるはずだ」という仮説を立てている場合、その背景としては「この地域にはまだ潜在的なビジネスが多く、人材さえ育てば新規案件を獲得できる」という前提があるかもしれません。こうした仮説が本当に正しいのかを確かめるために、以下のような項目をヒアリングします。

  • 現在の市場状況:既存の競合サービスがどの程度存在するのか、あるいはそもそも市場自体が伸びているのか
  • 企業側の課題意識:本当に人材不足が原因で売上が伸び悩んでいるのか、それとも他の要因(市場規模の限界や経営資源不足)なのか
  • 予算や組織の実態:研修にかけられる予算はどれほどあるのか、研修を受けても業務スケジュールを調整できる体制があるのか

もしヒアリングの結果、「この地域には大きなビジネス機会がない」「予算を割ける企業が少ない」といったネガティブな情報が得られたとしたら、それはすなわち事業計画自体の見直しが必要であるという重要な示唆になります。たとえ想定と異なる事実であっても、早めに気づいて軌道修正できる点に、ヒアリングの大きな意義があるのです。

業界知識をもったインタビュアーの重要性

ヒアリングを成功させるには、インタビュアー自身がある程度業界知識を持っていることも大切な要素です。業界特有の課題や用語がわからないままでは、顧客が何気なく放ったキーワードを拾えず、せっかくのヒアリングが浅い内容に終わってしまうリスクがあります。例えば、IT業界で言えば特有のプロジェクト管理手法や技術用語、製造業であれば生産ラインの制約やQC(品質管理)の実態など、業種ごとに着眼すべきポイントは異なります。インタビュアーがある程度の知識を持っていれば、顧客の回答に対してより具体的な質問を追加で行い、深い議論へと進展させることができます。


定量データの補完としての調査手法

顧客ヒアリングは定性的な情報を得るうえで非常に有効ですが、多くのサンプルを確保して統計的に裏づけをとることは難しい場合がほとんどです。そこで重要になるのが、量的な調査手法との組み合わせです。ヒアリングによって得られた仮説を検証するために、後からWebアンケートや大規模調査を活用することで、「どのくらいの割合で似た課題を抱えているか」といった定量的な指標を把握できます。

ヒアリングから定量調査への流れ

  1. ヒアリングを行う
    はじめに少数の顧客や見込み顧客を対象にインタビューを実施し、具体的な課題や潜在的ニーズ、導入に対する懸念点を洗い出します。ここでは定性的な情報を深掘りし、サービスコンセプトの方向性を見極めます。
  2. 主な論点を整理
    ヒアリングから得られた気付きの中で、特に多くの顧客に該当しそうなトピックを抽出します。たとえば「価格帯への敏感度」「導入ハードルとなる要因」「期待する機能」など、今後の定量調査で確かめたい項目を選定します。
  3. アンケート調査を設計する
    選定した論点をもとに、客観的なデータを集めるための質問項目と選択肢を作成します。選択肢の作り方や質問の順番を慎重に設計することで、集まるデータの精度が大きく変わります。たとえば「現在導入しているサービスは何か?」「そのサービスの改善希望点は?」といった定量調査に向いた形に整理します。
  4. Webアンケートや大規模調査を実施
    多数の回答者を集めることで、統計的に意味のあるデータが得られます。性別や年齢層、業種などのセグメント別に分析すると、ニーズの違いや受容度の違いが一層クリアに見えてきます。
  5. 結果の分析と戦略への反映
    得られた定量データを基に、ヒアリングで浮上した仮説の信ぴょう性を検証します。「想定以上に費用面の敏感度が高い」「機能よりもサポート体制を重視している層が多い」など、数値として示された結果は、経営陣や投資家への説明資料としても説得力を持ちます。

定性情報と定量情報の特徴を比較する表

以下の表は、顧客ヒアリング(定性情報)とアンケート調査など(定量情報)の特徴をまとめたものです。両者をうまく組み合わせることで、新規事業の成功に必要な情報を網羅的に得ることができます。

項目定性情報(顧客ヒアリング)定量情報(アンケート調査など)
特徴顧客の本音や感情、背景事情を深く把握できる多くのサンプルから統計的に有意な傾向がつかめる
メリット新たなアイデアや未知の課題を発見しやすい具体的な数値による説得力があり、社内外での説明材料になる
デメリットサンプル数が少なくバイアスが入りやすい選択肢に限りがあるため、詳細な背景まで把握しにくい
活用局面サービスコンセプトの初期検討や課題の深掘りサービス導入の意思決定要因の優先順位の確認など

定性と定量、それぞれのアプローチを組み合わせることで、企画段階からリリース後の評価までを網羅的にカバーできるでしょう。


まとめ

ここまで、新規事業の立ち上げに不可欠な「顧客ヒアリング」について、具体的なステップや気をつけるべきポイントを中心にお話ししてきました。改めて振り返りますと、顧客ヒアリングの目的は単に顧客の声を聞くことではなく、事業の方向性やサービスコンセプトをより的確にブラッシュアップすることにあります。そのためには、仮説段階でできるだけ具体的な資料を用意し、顧客が自分ごと化できる質問設計を行うことが欠かせません。

さらに、ヒアリングだけで終わらせず、その結果を踏まえた定量調査を並行して行うことで、より信頼度の高いデータを手に入れられます。定性情報と定量情報を組み合わせて分析することで、新規事業が本当に市場で受け入れられるかどうかを多角的に検証できるでしょう。

新規事業は失敗リスクも高い一方で、成功すれば企業の成長エンジンとなる大きな可能性を秘めています。だからこそ、立ち上げの初期段階から顧客の声に真摯に耳を傾け、客観的なデータと組み合わせながら進めていく姿勢が求められるのではないでしょうか。事業計画を立てるうえで、顧客ヒアリングは「コスト」ではなく「必要不可欠な投資」と位置付けるのが理想です。

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筆者:Machiko

筆者:Machiko

位置

神戸大学卒、中小企業診断士。システム開発会社にてITコンサルタント業務に従事したのち、Webエンジニア兼・講師として独立。SaaS立ち上げ支援やエンジニアリング支援等を担当しています。Udemyでは、自身が強みを持つ「IT」や「財務会計」「管理会計」「業務効率化」を軸に、スキルアップ術・ノウハウを紹介しています。