資金繰りの健全化には資金繰り表が重要!
キャッシュが少しずつ減っていく状況では、資金繰りの悪化を即座には実感できないかもしれません。しかし、キャッシュフローは徐々に悪化していく性質があります。資金繰りを健全化させるためには、まずは資金繰り表を作成しましょう。資金の状況を見える化させることで、正確な収支、不足する現金などが明確になります。早め早めに手を打つことが、キャッシュフローの早期改善のカギとなります。
企業が運営を継続させるためには、何よりも現金が欠かせません。お金とは血液のようなもので、流れが止まってしまうと事業は立ち行かなくなります。健全な運営を続けるためにも、資金繰りを見直してみましょう。金融機関から提示を求められた、財務担当者が辞めて作成方法がわからなくなった、などは資金繰り表作成のよくある動機ですが、もっと攻めの姿勢を持つことが重要です。
資金繰り表はなぜ必要なのか?
資金繰り表というのは企業の命綱と言えるほど重要です。多くの経営者はその気になればすぐに作成できると考えがちですが、そうではないことが多い現実があります。確かに簡易的な書類であれば作成は比較的容易ですが、経営における重要書類と定義するならば、緻密に詰めていく必要があります。多くの時間をかけて、徹底したシミュレーションをしていきましょう。お金の流れが明確になれば、企業の問題点、今後の対策などが見えてきくるからです。実際に元気のある企業ほど、資金繰り表の作成には余念がありません。将来を明確に予測できれば、先手必勝でさまざまな手を打つことができるからです。資金力に余裕があれば経営者は冷静な判断力をもって運営に臨めます。逆に金欠の状態になると、資金集めに注力して肝心の事業の運営をおろそかにしてしまう可能性があります。
資金繰り表の作成で注意するべきことは?
①予測と実績の誤差をこまめにチェック
資金繰り表の作成において課題となるのは、どこまで詰めていくかです。消極的になりすぎて守りに徹するのはよくありませんし、だからと言って過剰に攻めればいいわけでもありません。予測は外れることがめずらしくないですが、少しでも誤差を減らしていく工夫は必要です。
具体的には予測と実績の誤差をこまめにチェックすることです。例えば1か月前の予測と実績に、どのくらいの差があるのか明確にします。その差が大きすぎるようであれば、何らかの対策が必要でしょう。売上収入と仕入支払いに関しては、月によって大きく変動するケースがあり、なかなか予測が難しいはずです。だからと言って無策でよいわけではなく、さまざまなデータや資料を活用しながら、できるだけ正確に予測していく必要があります。
②財務担当者
資金繰り表の作成において、大きく関与しているのは財務担当者です。財務担当者に求めるのは、単なる資金繰り表の作成ではありません。企業の命運を握っているという自覚を持ち、企業全体を把握してもらうことがポイントになります。書類と睨めっこをするのではなく、会社の現状や将来性、スペックなどを総合的に判断したうえで資金繰り表を作成していくことが大切です。会社のことをよく知らない状態で、書類作成をしようと考えても無理があります。入金と出金のパターンを細分化し、それらをもとにシミュレーションをし、精度の高い予測につなげていく必要があるでしょう。完璧に予測をすることは不可能ですが、100%に近づけていくことは可能です。70%より80%、さらに90%と精度が上がるほど、業務改善が容易になります。
④作業を属人化させない仕組みづくり
資金繰り表には絶対的な作成ルールは存在せず、企業によって方法が異なるのはもちろん、作成する担当者によっても仕様に違いが見られます。作成における明確な基準が存在しないからこそ、属人化する傾向が極めて強いわけです。そうなってしまうと、担当者が何らかの不正、ごまかしを行ったとしても、本人以外は気づくことが難しくなります。企業にこうしたブラックボックスが存在すると、あとあと運営が立ち行かなくなるほどのダメージを受ける危険要素となります。だからこそ実績を含めた数字が、これから先どう集計されるのか明確にする必要があるのです。具体的には誰が担当者になっても、迷うことなく従来の作成方法を再現できる状態が好ましいです。また不正やごまかしをいち早く発見するための仕組みづくりも必要でしょう。
健全な経営には資金繰り表が重要!
貸借対照表、予測期間の決算書の作成ができれば、資金繰りの予測もできると考えてください。将来の売上高、入金額のシミュレーションができれば、売掛金の残高もある程度見えてきます。資金繰り表はシミュレーションツールとして役立つもので、売上予測を通して資金繰りをどうするべきか予測できるからです。よりよい商品づくりに注力する姿勢は大切ですが、それができるのもキャッシュフローが健全であってこそです。
資金繰りが自社だけで行えないようになると、さまざまな支障が出てきます。そうなれば事業をすることよりも、お金を集めることが目的になりかねません。健全な企業運営のために、改めて資金繰りの見直しをしてみましょう。