融資を通すためにも、まずは銀行員がチェックする決算書のポイントを押さえよう!
銀行員が融資を判断する際にどこを見ているのか、それは本業が儲かっているかどうかがポイントとなります。融資判断を行う銀行では、実は決裁に何人もの人が関わっており、それこそ稟議書を回して行われているとされます。
銀行員を始めとして、その上司や融資係と管理者、次長に支店長もはんこを押さなければ、融資は認められないわけです。会社の経営改善や投資のために必要な融資を受けるためにも、まずは「銀行員が融資をする際に、決算書のどのような部分を見ているのか?」について、理解しましょう。
売上高や営業利益等の利益を見て、経営状況が健全かを見ている!
融資の審査時には、稟議書の良し悪しが融資の可否に関わるので、稟議書を作成する銀行員に健全な経営状況だと思ってもらう必要があります。
銀行員はまず損益計算書の売上高総利益、営業利益を見て企業の経営状況を大まかに判断します。総利益は端的にいえば売上から原価を差し引いて出る利益のことで、給料や地代などは差し引かれていないものです。
売上高総利益は?
この売上高総利益は基本的に、どの企業もほぼ黒字ですし、逆にいえば赤字だとかなり融資のリスクが大きい企業ということになります。総利益がマイナスの企業は原価割れで販売している企業と言い換えられるので、融資が検討されるどころか審査すらしてもらえないでしょう。そして同じ経営状況が続けば、いずれ倒産するのは時間の問題です。
売上高営業利益は?
一方の営業利益は、売上高総利益から給料や地代、販促費なども差し引いて残る利益です。
営業利益こそが本業が儲かっているかどうかの本当の指標で、この利益が黒字であれば経営状況は健全だといえます。
このように銀行員は売上高総利益、営業利益の順に経営状況を確認してから、審査をするか判断しているわけです。
損益計算書には他にも、経常利益や税引き前利益、税引き後利益があります。
売上高経常利益は?
経常利益は時に営業利益以上に期待して確認が行われるものです。支払い利息などの財務費用を差し引いて算出される経常利益は、営業や財務、投資活動に必要な費用を差し引いても利益が出ているか否かが分かるポイントです。つまり経常利益がプラスであればその企業は良好ですし、プラスが大きければ大きいほど余裕があるといえるでしょう。銀行員は営業利益、経常利益に赤字が見られると、経営状況に問題はないのか疑問をいだきます。
一過性の赤字であっても、銀行員にとっては融資判断の懸念材料になるので、企業は黒字にする方法を銀行員に説明する必要性が出てきます。
説得力のある説明ができれば、銀行員が抱いた印象は改善しますし、融資におけるリスクは小さいと判断されます。
例えば一過性の赤字の赤字にあたるもので説得力があるといえば、販促活動に伴う販促費と人件費などが掛かったものの、次は黒字に戻るという内容が挙げられます。
勿論、根拠がなければ説得力は生まれませんし、嘘を交えて銀行員を騙そうとするのはNGです。
銀行員は企業に対し、安心して融資できる材料を求めているので、例え説明が求められなくても企業は説得力を持って説明するべきです。
一過性の赤字で来期は黒字に戻る、そういう説明ができれば銀行員に与える印象は悪くないはずです。
損益計算書の税引き前利益は、固定資産売却損益と投資有価証券売却損益などの非経常的な損益を含む利益を指します。
そこから税金を差し引いたものが税引き後利益となります。
これらの利益はどちらも黒字が望ましいとされていますが、経常利益が黒字であれば固定資産の売却で一過性の赤字が発生しても、それほど問題にはならないです。
特別損失が発生していないか?
税引き前利益や税引き後利益が赤字でも、明確な理由があって銀行員が納得できれば問題にしませんし、経常利益が黒字ならポジティブに判断されるでしょう。
ただし、毎期のように特別損失が発生していたり、常時経常利益が100%を割っている状態だと、特別損失に危惧が生じるので注意です。
利益が減った場合の対策の基本はやはり説明で、利益を改善する為に何を考えどう取り組みをするか、具体的な説明が必要不可欠です。
利益減少の原因が事業環境にあるなど言い訳ばかりをすれば、銀行員からの評価は下がってしまいます。
融資が遠のくことになりますから、言い訳ではなくどうプラスにするかを考えて説明することが建設的です。
利益を改善しようとすれば、それが銀行員の目に良い姿勢だと映りますし融資判断の評価に繋がります。
仮にもし原価が上がった結果利益が減少してしまった時は、相見積もりでより安い取引相手を探している、顧客と価格を交渉しているなどの説明をすると説得力があります。
利益改善のための仕入れ先の見直しも重要!
仕入れ先の見直しも利益改善の姿勢と捉えられるので、銀行員はポジティブに評価してくれるものと思われます。
人件費の上昇による利益の減少については、投資として必要なコストと考え、将来的な利益に繋がると説明するのが良いです。
大切なのは一過性の赤字をネガティブに捉えられないように、銀行員が抱く印象を説明でポジティブなものに変えていくことです。
銀行員は過去の利益や純資産、在庫状況に売掛金の残高なども見るので、これらにも注意が必要です。
過去の利益は経常利益が3年続いて黒字ならプラス評価、純資産は債務超過や累積損失がなくプラスであればかなり融資が前向きになります。
買掛金の残高は不足がないこと、貸付金は少なく借入金の残高も適正なことに気をつけたいところです。
会社の経営を存続させていくためには、融資も時には必要です。金融機関に融資の相談をする際には、自分の会社がどれだけ利益を残せているか、また利益を残せておらず赤字の場合でもなぜ赤字なのか、そしてその赤字の改善の見込みがあるのか、といったことを、社長自身が把握している必要があります。ぜひ、決算書の見方等についても学んでみましょう。