粗利(売上総利益)の改善方法は?
いわゆる粗利と呼ばれる売上から原価を差し引いて算出される売上総利益は、改善することができます。粗利は仕方がないと改善をあきらめる企業が少なくないですが、決してあきらめる必要はありません。原料の価格高騰や人件費の上昇、円安などの要因は確かに利益の減少を招きますし、対策を講じなければ利益は減る一方です。特に、中小企業は家賃などの固定費を見直したり減らすのが難しいので、必然的に外注費等の変動費を見直すことになります。変動費は売上高によって増減する原価のことで、売上高から変動費を差し引いて出るのが粗利ですから、変動費を減らせば結果として粗利が増えます。
①現在の状況を把握する
粗利を改善するにはまず、現状の売上や原価を計算して状況を把握することが必須です。例えば、飲食店であればメニューが計算の対象で、売価から原価を差し引き、粗利を出すことで原価との割合が算出できます。原価率が高いメニューについては、売価を上げることで利益を増やすことが可能です。他にも食材を見直して原価を下げる、原価が安い商品は売価を上げるのではなく、販売を増やして利益を確保するといったプランが検討できます。
②外注の変動費(仕入れ先など)を見直す
粗利を計算して仕入れ単価が上がっていることが分かった場合は、仕入先を見直して変更するのも1つの方法です。このように、外注費等の変動費は計算して見直せるところを見つければ、粗利の改善を図れるということが分かります。
しかし現実にはそう簡単ではありませんし、変動費は常に変動するので変動に追従し続けるのは困難です。使用する食材の量を正確に計ったり使用するのも難しいので、実際のところ外注費等の変動費の変化による見直しはザックリです。これは製造における原材料も同様ですから、飲食業に限らずどの業種も避けて通れないところです。現実的には特に粗利に影響しそうな重要な部分を絞り込み、そこを見て判断することになるでしょう。
③販売数量の把握と見直し
販売数量はいつでも重要なポイントですから、常時把握しておくことをおすすめします。販売数量は営業利益を見るのに必要で、商品の粗利に販売数量を掛けて、そこから家賃などの固定費を差し引くと営業利益が出ます。そうして出た営業利益は、単純な利益の良し悪し以上に状況を判断したり改善するヒントになります。
④従業員の協力
利益の追求や改善は、経営者の努力だけではなく従業員の協力も必要です。経営者には、いかに改善の取り組みが重要かを従業員に説き、協力を仰いで一丸となって取り組む旗振り役になれるかが問われます。説得材料となるのは給与で、粗利が改善すれば売上に合わせて給与が増える可能性がある、逆に粗利の改善なくして給与の増加はあり得ないということが挙げられます。利益が少なくて余力がない企業は体力がありませんし、そこで働く従業員は疲弊してしまいます。
⑤社長を含めた社員全員で改善を目指す姿勢
問題となるのは社長が自ら利益の改善をあきらめてしまうケースで、これは会社が生み出した価値そのものを捨てるに等しいといえるでしょう。粗利は従業員が努力して生み出した価値ですが、それが減る一方で社長が見てるだけというのは、従業員の努力を無駄にしているのと同じです。会社が生み出した価値は経営者にとって軽視できないものですし、従業員には給与に直結しますから、やはり同様に軽視も無視もできないです。
粗利は改善できること、経営者にも従業員にも、ひいては企業そのものに重要という共通の認識を持つことができれば、家賃などの固定費が減らせなくても大丈夫です。外注費等の変動費を把握して減らせるところはないか、粗利を増やせないかを知ること、実践することが大事です。こうした努力は必ず結果に反映されますし、社長はそれを信じて利益を追求し続けるべきです。
粗利の改善において重要なことは?
そもそも会社が生み出した価値の粗利は、会社の価値そのものと言っても過言ではありません。粗利を軽んじることは会社の価値すらも軽んじることになるので、会社に存在意義やプライドを感じるのであれば、いかに利益が増えるかを考える方が断然良いです。社長があきらめた時点で従業員もあきらめてしまいますから、まずは社長が現状の把握と改善の姿勢を見せることが大切です。その上で従業員と協力して何ができるかを検討したり、給与の増加をモチベーションに頑張ってもらうのが建設的だと思われます。もちろん、従業員に丸投げでは駄目ですが、それぞれの立場でできることに取り組み、利益を追求すればやがて粗利は改善されて増加します。原価しか見なかったり販売数量ばかり重視するのもNGですが、全体を把握して改善点を見つければ、あきらめる必要は全くなくなるはずです。