債務償還能力とは?どうやってみたらいいの?
金融機関から借入金に対しての返済余力を測るには、債務償還能力を見る必要があります。債務償還能力を見る指標としては、債務償還年数・自己資本有利子負債比率・借入金月商倍率の3つを挙げることができます。
①債務償還年数
債務償還年数とは金融機関から借入したお金を何年で返済することができるのかを表す指標になります。この債務償還年数は、銀行員が融資先の企業の財務を分析する時に重点を置いている財務指標の1つです。金融機関が融資をおこなう際に、審査することは資金の使い道や返済能力の有無が焦点になりますが、特に返済能力については慎重に審査がおこなわれます。このことから企業に融資をおこなう際には、何年で完済することができるのかを示す債務償還年数を計算する必要があります。
債務償還年数の計算式は、金融機関によって計算の方法が少し異なるのですが、基本的には借入金÷(経常利益+減価償却費ー法人税等)が大まかな計算方式になります。経常利益+減価償却費にあたるのが一般的に言われるキャッシュフローのことを指します。債務償還年数が長引くほど金融機関にとってみれば儲けに対する借入額が大きいこととなり、マイナス評価になります。
①-1 債務償還年数で注意するべき点は?
では債務償還年数がどのくらいの年数を超えると危険信号になり、何年以内の場合だと適正値とみなされるのでしょうか。金融機関の一般的な見解としては、10年未満であれば健全な財務状況であるという判断になり、逆に10年以上の場合は危険信号だという判断が下されます。10年を超えると過剰債務となるので、理想的な債務償還年数は5年と言われています。ただしこの年収の目安は業種によって多少の誤差があるので、必ずしも10年以上が危険信号だということではありません。製造業のように初期設備が必要な場合必然的に多額の運用資金が必要になるので、適正な目安の年数は20年未満程度になることが一般的になります。
このことから債務償還年数を計算してみて、10年以上の返済年数になる場合金融機関から借入することができないと思いがちですが、実際にはそうではありません。多くの金融機関が用いている計算方式は、運転資金を借入金から差し引いて計算する緩やかな計算基準を採用していることが多いので債務償還年数が短くなり、融資を受けやすくなっています。債務償還年数を無視した経営をしていると、借入金が膨れ上がってしまい、経営を維持することができなくなる危険性が出てきます。そのため、日ごろから債務償還年数を意識した経営を心がける必要があります。
②自己資本有利子負債比率とは?
自己資本有利子負債比率は、企業の財務状況の安全性を測ることができる指標になります。有利子負債とは、利息を含めて返済する必要がある負債と自己資本のバランスを指す経営指標になり、銀行からの借入金や社債なども含まれます。有利子負債比率の計算方式は、有利子負債÷自己資本(株主資本)×100%になります。中小企業であれば100%以下が有利子負債比率の適正な目安とされていて、70から80%であれば理想的です。財務状況の安全性を表す指標になるので、有利子負債比率が低いほど投資するリスクが低いことになります。毎月金融機関に支払いをする為、その分現金が流出することになるので、有利子負債が多いほど出ていく現金が多くなり、資金繰りが苦しくなって財務状況が悪化する可能性があります。
②-1 自己資本有利子負債比率で注意するべき点は?
現在業績が良い企業でも有利子負債比率が高い場合は、急激な経営の悪化に至るケースもあるので注意が必要です。企業を継続的に経営するにあたっては、さまざまな場面で資金が必要になります。継続するための運転資金や、事業拡大のためにかかる資金など追加で融資を受けなくてはならないことが出てきます。必要な資金を全額自己資金から補うことができれば問題はないのですが、多くの企業は金融機関で借入をして資金調達をする必要があります。
③借入金月商倍率とは?
借入金月商倍率とは、借入金が月一ヶ月の売上高の何倍であるかを計算して限度額を算定する方法です。一般企業の場合では、借入金額の目安としては、借入金月商倍率が3倍以内であれば安全だとされていて、3~6倍だと要注意段階となり追加保証人が必要になります。6倍以上の場合は、金融機関から危険と見なされることになり、融資を受けることが非常に困難になるとされています。しかしこの適正とされる倍率は業種によって異なり、卸売業は小売業や製造業等の業種と比較して、在庫を多数抱える必要がないので、安全とされる目安はやや低めになります。逆に製造業などは設備にかかる資金が多いことから、倍率は大きくなってしまいます。
借入金月商倍率の計算方法は、借入金÷(売上高÷12)です。借入金月商倍率は決済書の数字から簡単に計算することができるので、借入可能になるのかの大まかな目安として用いられています。