今日皆さんにご紹介するのは、Excelに搭載された機能「パワーピボット」についてです。「Microsoftのパワーピボットで何ができるのか、いまいちよくわからない」といった方に向けて、パワーピボットはどういった特徴があるのかを説明していきます。
通常のピボットテーブルとの違い
データモデルの作成と関係の確立による計算の作成が行えるパワーピボットは、データモデリングテクノロジの製品です。
パワーピボットとピボットの違いは、パワーピボットがいわゆるピボットテーブルの強化版に当たるもので、データモデルの集計と分析に使える点が優れます。
パワーピボットは大規模データセットが扱えること、広範囲の関係構築や複雑な計算ができる強みを持っています。
しかも高パフォーマンスに実行が可能ですから、ピボットの範疇とは一線を画します。
このように、パワーピボットとピボットの違いがあること、強化版として非常に強力なツールになることが特徴の一つに挙げられます。
操作はExcelに近いので、普段から使い慣れているExcelの延長線上にある操作感で活用可能です。
パワーピボットはExcelのアドオンとしても、簡単に使い始めることができます。
パワーピボットの便利な機能「スライサー」で何ができる?
パワーピボットのもう一つの特徴スライサーは、テーブルやピボットテーブルのデータを視覚的にフィルタリングする仕組みです。
従来のExcelでは、フィールドリストの垂直と水平スライサーを使うことが可能でした。
しかし比較的新しいバージョンでは、フィールドリストではなくパワーピボットのタブに機能があります。
分析タブからフィルターグループを表示してスライサーを選択すると、フィルター処理をしたい項目にチェックを入れたり、配置することで視覚的に活用できます。
左右に高さを揃えて配置すると、並べて比較することが可能なので便利です。
上下の配置は複数の条件でフィルタリングしたい場合に、スライサーをより活用することができるでしょう。
メジャーやデータとの接続
パワーピボットには、メジャーやデータとの接続という特徴が備わります。メジャーとは別名集計フィールドと呼ばれるもので、カスタム計算を行えるのが特徴です。
Excel標準の集計関数や、DAXという数式言語を用いることも可能となっています。
このように、これらを接続して柔軟かつ強力に操作できるのが、パワーピボットの強みだといえます。
改めてできることを確認すると、複数のファイルを連結した上での集計やDAXによるメジャーを使った視覚的な表の作成、グラフ作成などがあります。
パワークエリで接続を行えば、Excelの行上限を超えてデータを扱うことができます。
同じ処理を何度も繰り返したい場合は、プロセスを自動実行することで負担の軽減が図れます。
最初に雛形を作る必要はあるものの、2回目以降の手間が大幅に削減できるでしょう。
パワーピボットとピボットの違いを更に細かく比較すると、前者が複数のテーブルやシートを扱えるのに対し後者は一つのみという決定的な差があることが分かります。
従来のピボットを使ったデータ接続との違い
しかも結合はパワークエリによるリレーションシップと、一つのシートにテーブルを結合していく形という違いも大きいです。
従来のピボットはVLOOKUPで複数のシートを参照すると、ファイルサイズが肥大化してしまうのが難点でした。
その点、パワーピボットは接続のみの読み捨てが選択可能で、肥大化を避けることができるのが魅力です。
Excelは100万行を超えるデータの扱いに制限がありますが、パワーピボットはPCのスペックに依存なので、性能次第では100万行を余裕で超えられます。
パワーピボットは、どんなことに役立てられそうか?
メリットともいえる三つの特徴は、ピボットの欠点や不満を解消しつつ、より強力に集計や分析が行えることに繋がっています。
メジャーを作りスライサーで操作性を大幅に向上させられますし、複数の表やグラフを連動させることもできるわけです。
情報量が膨大でサイズが肥大化しているファイルも、無理なくそれも軽くデータを扱うことができます。
複雑かつ多角的な集計、分析を行う為に作られているので、こういった特徴を備えるのは当然ですし、時代のニーズに合っているといえるでしょう。
見た目はピボットに近くて操作性はExcelの延長線上と、まさに痒いところに手が届く優れた機能です。
増加していく一方のデータを扱ったり、分散しているテーブルを結合して扱いたいなら、パワーピボットは必須です。
使いこなしがデータの活用を左右しますし、これからの時代は業務においていかにデータを柔軟に扱えるかが問われることになりそうです。
行の上限を含めて、Excelの限界を突破できるツールですから、活用しない手はないと思われます。
勿論、ハードウェアのスペックに依存する上限はあるので、可能な限り余裕のあるPCを用意したいところです。
難しく考えなくても、膨大なデータをそれも複数をまとめて集計したり、分析して視覚的に扱えると捉えれば、便利に使えることが理解できます。
メジャーやデータとの接続をしたら集計表を見ながら操作できるので、使い方の習得はそれほど難しくないはずです。
行数が多くても処理が速いですし、列も通常のExcelやピボットと比べてメンテナンスしやすいですから、標準機能やピボットに不満を覚えたらパワーピボットの習得をおすすめします。