0
0

プロンプトエンジニアリング入門:効果的なAIプロンプト設計のテクニックと実践方法について解説!

執筆者 | 6月 4, 2024 | ChatGPT活用

こんにちは、皆さん。今日は最近注目を集めている「プロンプトエンジニアリング」についてお話しします。この分野は、AIの力を最大限に引き出すための重要な技術であり、特に大規模言語モデル(LLMs)に関心がある方には必見の内容です。

プロンプトエンジニアリングとは?

プロンプトエンジニアリングは、言語モデルを効率的に使用するためのプロンプトを開発および最適化する学問分野です。このスキルを身につけることで、LLMsの能力と限界をより深く理解し、活用することができます。研究者や開発者は、質問応答や算術推論などのタスクでLLMsの能力を向上させるためにプロンプトエンジニアリングを利用しています。

プロンプトエンジニアリングには、プロンプトの設計と開発に限らず、LLMsとのインタラクションおよび開発に役立つ幅広いスキルと技術が含まれます。これは、LLMsの安全性を向上させたり、ドメイン知識や外部ツールを使用してLLMsの機能を拡張するためにも使用されます。

プロンプトエンジニアリングとプロンプトデザインの違い

ここで、プロンプトエンジニアリングとプロンプトデザインの違いについて詳しく見ていきましょう。これらの用語は似ていますが、それぞれ異なる意味と役割があります。

プロンプトエンジニアリング

プロンプトエンジニアリングは、AI、特に自然言語処理を行うモデルに対して、効果的な質問や要求を設計する技術全体を指します。これは単にプロンプトを作成するだけでなく、AIの応答を最適化するための様々な方法や戦略を含んでいます。システムの制約や機能を理解し、その上で最適な質問や要求を全体的に設計することが求められます。

プロンプトデザイン

一方で、プロンプトデザインはプロンプトエンジニアリングの一部であり、より具体的にプロンプトの作成や編集に焦点を当てた活動です。プロンプトデザインは、ユーザーが求める情報を得るための質問や要求を明確かつ効果的に表現する方法を考慮します。具体的には、どのような言葉や表現を使えば最も適切な回答が得られるかを工夫することが中心です。

要するに、プロンプトエンジニアリングが全体的な戦略と技術を扱うのに対して、プロンプトデザインはその中の具体的なプロンプトの作成に焦点を当てています。プロンプトエンジニアリングでは、AIが特定のタスクを効率よくこなせるようにシステム全体の設定や調整を行います。一方、プロンプトデザインでは、具体的にどのような質問をすればAIが正確に答えるかを工夫します。

様々なプロンプトデザイン手法

プロンプトエンジニアリングにはいくつかの実用的な手法が存在します。ここでは、代表的なものをいくつか紹介します。

Zero-Shotプロンプティング

Zero-Shotプロンプティングとは、事前に情報を与えずに質問だけを投げかけるプロンプトのことを指します。ChatGPTに質問するときに、具体的な例や背景情報を提供しなくても、モデルがその質問に対して自然に答えることができます。例えば、「AIとは何ですか?」と質問すると、モデルはAIについて一般的な説明をしてくれます。

まずは、ChatGPTに慣れるためにも、どんどん質問を投げかけてみましょう。雑な質問でも構いません。例えば、「今日の天気は?」とか「コーヒーの作り方を教えて」といったシンプルな質問から始めるといいでしょう。

Few-Shotプロンプティング

Few-Shotプロンプティングとは、具体例を提示することで、モデルにタスクの実行方法を学習させるプロンプトのことを指します。ChatGPTはZero-Shotプロンプティングのように、質問を投げかけるだけでも答えてくれますが、具体例を入れることで、より高いクオリティの回答を得ることができます。

例えば、仕事でデザインの依頼をする場合を考えてみましょう。いきなり「このWebサイトをいい感じにデザインして!」と曖昧な依頼をするよりも、「デザインシステムはこれを使って、参考にするWebサイトはこれです」と具体的な依頼をした方が、期待通りの仕上がりになりますよね。これと同じように、ChatGPTに対しても具体的な例を示すことで、より正確な回答を引き出すことができるのです。

Zero-shotとFew-shotの違い

Zero-ShotプロンプティングとFew-Shotプロンプティングの違いについても理解しておくことが重要です。研究によると、Few-ShotプロンプティングはZero-Shotプロンプティングに比べて、たった1つの例を追加するだけで性能が大幅に向上することがわかっています。この手法をOne-Shotプロンプティングとも呼びます。

One-Shotプロンプティングでは、1つの具体的な例をプロンプトに含めることで、モデルがそのタスクに対する理解を深め、より正確な回答を引き出すことができます。さらに、複数の例を提示することで、モデルの性能が向上します。しかし、例の数を増やし続けても、一定のポイントを超えると効果は線形には上がりません。モデルが必要な情報を十分に学習した後は、追加の例がそれ以上の大きな改善をもたらさないためです。

CoTプロンプティングについて

次に、Chain-of-Thoughtプロンプティング(CoTプロンプティング)についてお話しします。CoTプロンプティングは、問題を解くための一連の手順をプロンプトに含めるテクニックです。これは、人間が算術の問題を解くときに、段階的に考える方法を模倣したものです。

例えば、「2個のリンゴと3個のリンゴの合計は?」という質問に対して、人間は「2個と3個を足すので、2+3=5」という過程を経て答えを導きます。このように途中の手順を細かく分けて考えることが、CoTプロンプティングの基本です。

最近の自然言語処理では、このCoTプロンプティングを使うことで、AIがより複雑な推論タスクを解く能力が向上することが報告されています。例えば、次のような例を見てみましょう。

まず、標準的なプロンプトを使った例です。

質問: このグループの奇数を合計すると偶数になりますか?:4、8、9、15、12、2、1
回答: 奇数を全て加えると(9, 15, 1)25になります。答えはFalseです。

次に、CoTプロンプティングを使った例です。

質問: このグループの奇数を合計すると偶数になりますか?:4、8、9、15、12、2、1
回答: 奇数を全て加えると(9, 15, 1)25になります。まず、奇数の9、15、1を見つけます。それらを足すと25になります。25は奇数なので答えはFalseです。

このように、途中の推論手順を含めることで、モデルが正確な答えを導きやすくなります。

Zero-shot CoTプロンプティング

次に、Zero-shot CoTプロンプティングについて説明します。これは、元のプロンプトに「ステップバイステップで考えてみましょう」という文言を追加する方法です。簡単な問題で試してみましょう。

まず、標準的なプロンプトを使った例です。

質問: 私は市場に行って10個のリンゴを買いました。隣人に2つ、修理工に2つ渡しました。それから5つのリンゴを買って1つ食べました。残りは何個ですか?
回答: 11個のリンゴ

この回答は間違っていますが、次にZero-shot CoTプロンプティングを使った例を見てみましょう。

質問: 私は市場に行って10個のリンゴを買いました。隣人に2つ、修理工に2つ渡しました。それから5つのリンゴを買って1つ食べました。残りは何個ですか?ステップバイステップで考えてみましょう。
回答: 最初に、10個のリンゴから始めました。隣人と修理工に合わせて、リンゴを2つずつ渡し、残りは6個になりました。次に、5つのリンゴを買い、11個になりました。最後に、1つのリンゴを食べたため、残りは10個になります。

このように、ステップバイステップの指示を追加するだけで、モデルの正確性が大幅に向上することがわかります。

CoTプロンプティングは、特に例をたくさん用意できない場合に非常に有用な手法です。これを活用することで、モデルの推論能力を引き出し、より複雑なタスクにも対応できるようになります。

まとめ

プロンプトエンジニアリングは、AI技術を効果的に活用するために不可欠なスキルセットです。Zero-Shotプロンプティング、Few-Shotプロンプティング、そしてCoTプロンプティングなどの手法を理解し、適切に使い分けることで、AIの能力を最大限に引き出すことができます。これからもこの分野の進化に注目しながら、新しい手法を学び、実践していきましょう。

Udemy講座で学ぶ

Udemyで数々のベストセラー講座を提供してきた講師が企画・監修する、実践的な講座をお届けします。

各テーマに沿った具体的な事例や、ビジネス現場で即活用できるスキルを学べるため、日々の業務に直結する知識が身につきます。

セール期間中は、お得なクーポン価格で受講可能。ぜひあなたも、講座を受講してみませんか?

筆者:Machiko

筆者:Machiko

位置

神戸大学卒、中小企業診断士。システム開発会社にてITコンサルタント業務に従事したのち、Webエンジニア兼・講師として独立。SaaS立ち上げ支援やエンジニアリング支援等を担当しています。Udemyでは、自身が強みを持つ「IT」や「財務会計」「管理会計」「業務効率化」を軸に、スキルアップ術・ノウハウを紹介しています。