はじめに
OpenAIが開発した大規模言語モデル「GPT(Generative Pre-trained Transformer)」ファミリーの待望の第4版「GPT-4」が、ついに2023年3月14日にリリースされました。これまで様々な憶測と期待が寄せられてきたGPT-4ですが、その実力はGPT-3.5からどのように進化したのでしょうか。本記事では、GPT-4とGPT-3.5の主な違いについて詳しく見ていきます。
GPT-4の登場と主な改善点
1. GPT-4 vs GPT-3.5: 創造性の向上
GPT-4は、GPT-3.5よりも明らかに創造性が優れています。たとえば、詩を書く課題では、GPT-4が各行を英語とフランス語のミックスで書くのに対し、GPT-3.5は一方の言語で一行書いた後、次の行は別の言語で書くといった具合に、より創造的な結果を出しています。タスクの難易度が上がるほど、両者の創造性の差が際立ってきます。
2. GPT-4 vs GPT-3.5: ビジュアル入力の導入
GPT-3.5はテキストプロンプトのみを受け付けていましたが、GPT-4はマルチモーダルになり、テキストだけでなく画像入力にも対応するようになりました。手書きの数学問題やRedditのミームなど、ほぼあらゆる種類の画像を理解し、説明することができます。さらに、ある画像に基づいてウェブサイトのコードを生成することも可能になりました。
3. GPT-4 vs GPT-3.5: より安全な応答
GPT-3.5では安全対策としてモデレーションを事後的に行っていましたが、GPT-4ではシステムに多くの安全対策が初めから組み込まれています。その結果、有害な回答を生成する確率がGPT-3.5の6.48%から0.73%まで大幅に低下しています。
4. GPT-4 vs GPT-3.5: 応答の事実性の向上
GPT-3.5の大きな課題だった「AIの幻覚」、つまり意味のない不正確な情報を生成する傾向が、GPT-4では19~29%改善されています。実際にChatGPTで試してみると、GPT-4の回答がより正確になっているのがわかります。
5. GPT-4 vs GPT-3.5: コンテキスト・ウィンドウの拡大
GPT-4は、会話の履歴やコンテキストを、より長い期間にわたって記憶することができるようになりました。GPT-3.5では、会話が進むにつれて話題から逸れがちでしたが、GPT-4ではこの問題が軽減されています。また、一度に扱えるテキストの量も増えたため、長文の要約などがより容易になりました。
以上のように、GPT-4はGPT-3.5からの大幅な進化を遂げており、創造性、ビジュアル入力、安全性、事実性、コンテキスト理解など、多くの面で大きな改善が見られます。GPT-4の登場は、より知能的なAI言語モデルの追求に向けた重要なステップと言えるでしょう。
まとめ
GPT-4が、従来モデルから大きくステップアップしていることは間違いありません。
GPT-3.5の頃から存在していた限界にまだ苦しめられている部分はありますが、いくつかの領域が大幅に改善され、新しい能力も加わったことで、真にインテリジェントなAI言語モデルを追求する上で、新たな期待の一歩となっています。
創造性、ビジュアル入力、安全性、事実性、コンテキスト理解など、多くの面で大きな進化を遂げたGPT-4は、AIの可能性をさらに広げてくれるでしょう。